Greg & Junko Jorde Farms
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『大平 原からの便り』 
第六回:サスカチュワンファーマー

サ スカチュワンのどの農家にもかならずあるものが二つあります。それは温度計と雨量計です。農業が天気に左右されるのは当然のことなのですが、サスカチュワ ンのように冬が長く作物を育てられる時期が限られている地域にとっては、ちょっとしたタイミングのずれが作物の出来不出来に大きく影響するのです。

春 の種蒔きの時期には地中に適当な水分がなくてはいけませんが、雨が続いていると種蒔きがおくれ、秋の霜が降りる前に収穫できなくなる恐れもあります。その 後は放牧地の草と蒔いた穀物の成長のために適度の雨と太陽のバランスが必要です。

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果 てしなく広がる道路と畑、空の広さにも注目してください。


7、8月の干し草の刈 り入れの時期には好天が続いていないと草が乾かず、干し草の質に影響しますが、余りの高温や日照りが続いたりすると穀物の実りが悪くなるのです。穀物の収 穫の時期にはもちろん良い天気が続くことを祈りますが、夜に霜が降りると仕事もはかどりません。冬の間の降雪量も翌春の地中の水分に影響します。こういう 具合で、天気予報は生活の最も重要な情報の一つなのです。ですから例えば、朝のラジオで州都レジャイナ市に住むアナウンサーが「今週末も好天気が続き、ピ クニックにはもってこいでしょう」などと言ったりすると、雨乞いをしている多くの農家の人達からは「こっちにとっては死活問題なんだからそんな自分中心の 呑気なコメントを流さないで欲しい」といった抗議の電話がよくはいるらしいのです。

 私達の農場は320 エーカー(約150ヘクタール)で、俗に二分の一セクションといわれます。1マイル(1.6キロメートル)四方の640エーカーが1セクションと言われ、 その四分の一(0.8キロメートル四方)160エーカーが四分の一(クォーター)セクションという、サスカチュワンでの農地の基準サイズのようなもので す。ですから、私達の土地は0.8キロメートルX1.6キロメートルということになります。日本の感覚で言うととても広大な面積なのですが、この辺の比較 では最小クラスです。多い人では50クォーター以上持っている人もいます。そのような人にとっては天気を味方にすることは本当に大切なことなのです。

 都会の生活からこちら の生活に移ってみるとほかにも様々な発見があります。例えば、男の人全員が野球帽をかぶっていること。ファーマー達はもちろん、会社勤めの人達も休みの日 などどこかへ行くとなればかならず野球帽をかぶっています。(それも農機具の会社のロゴが入ったもの)。私の主人のグレッグもここに来るまでは帽子をか ぶっているところを見たことがなかったのに今では仕事用、外出用などと何種類もの帽子を持っています。だから夏になるとみんな“ ファーマーの日焼け”と呼ばれる、おでこの上半分は真っ白、Tシャツから出ている首と二の腕から先は真っ黒というみっともない姿にな るのです。

 サスカチュワンの人々 は、見た目だけでなく言葉も独特です。隣の人は私達が移ったすぐの頃訪ねてきて「今日はゲーターがひどいねー。」と言ったので後でグレッグに「ゲーターっ て何?」と聞いたら蚊のことだと教えてくれました。そのほかにも、じゃがいもをスパッズ、昼御飯のことをディナー、鹿のことをジャンパーなどといいます。 以前食事に呼ばれたとき、「明日ディナーに来て下さい」と言われたので「何時にお邪魔すればいいですか」と聞いたら「そうねー、12時ちょうどでいいわ」 と言ったので、あーお昼御飯のことを言っていたのかとやっと分かったのでした。聞き慣れない表現をするのは大人たちだけかと思ったら、私の教えているプリ スクールでABCのゲームをしたとき、「AはアップルのA」などといいながら鹿の写真をみせて「じゃあDは?」と聞いたら「DはジャンパーのD」と元気よ くこたえてくれたので思わずびっくりしました。

 今では私もすっかりサ スカチュワンの生活に馴染んで、ほかの主婦たちとも野菜畑の話ができたりします。でもファーマーの日焼けだけは避けたいなあと思っています。

 



      
第五回:観那誕生                   第七回:干し草作り




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